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ジョブ理論を活用したインサイト分析

ジョブ理論とは?

「ジョブ理論」とは、『イノベーションのジレンマ』などで有名なクレイトン・クリステンセン教授が提唱したもので、従来までの運任せなイノベーション開発から脱却する方法として、顧客の「ジョブ」に着目した理論および書籍です。

ジョブ理論における「ジョブ」の定義とは以下のようなものとされています

“ある特定の状況で人が遂げようとする進歩”

そして、このようなジョブを探るため、以下のようなユーザーへの問いかけを積極的に採用します。

“どのようなジョブ(用事・仕事)を片付けたくて、あなたはそのプロダクトを”雇用”するのですか?

 

ジョブ理論の代表例:”ミルクシェイクを雇用する”

ジョブ理論で有名なのは作中に登場する”ミルクシェイク”の事例です。

あるファーストフードチェーンでミルクシェイクの売上をあげるプロジェクトを実施していた際、商品に関する主に定量的な分析(価格や分量、味の好み etc)を反映させても、売上にはまったく結びつきませんでした。そこでクリステンセンは、冒頭でも紹介した「なぜあなたはそのミルクシェイクを雇用したのですか?」という問いに立つことで、初めてミルクシェイクが抱える課題の本質に近づいたのです。

その本質とは、「会社までの長く退屈な車運転の最中に、もっとも適当な商品」としてミルクシェイクが選ばれている、ということでした。

本事例に関する講義録は以下の動画でもクリステンセン自身によって語られているので、参考にしてみてください。

 

ジョブ理論をインサイト分析へ活用するヒント

クリステンセンの提唱したジョブ理論は、ミルクシェイクの事例にも見られるように、マーケティング的視点からもたくさんのヒントを与えてくれます。

特に『なぜその商品を雇用したのか?』という問いに表されるジョブは、顧客の潜在的な欲求・関心に焦点をあてるという意味で「消費者インサイト」とも合致する考え方で、ジョブ理論のその他の活用事例やジョブの発見に向けたアプローチ手法は、新しいインサイト開発に役立てることができるでしょう。

ジョブ理論の中で、とりわけ「ジョブ」の発見や理解と密接に関わるとされている概念に、「状況」があります。

・いつ
・どこで
・だれと

など5W1Hに関する事項の他、「その前まで何をしていたか」「このあと何をするつもりか」など、複雑な生活上の文脈まで加味することで、ジョブの定義でもある「ユーザーが遂げようとしている進歩」に近くことが出来ます。

先ほどのミルクシェイクの例でも、新しいジョブの発見は「ミルクシェイクを購入するユーザーの状況はどうか」という視点からの徹底的な顧客観察・店頭観察を実施した結果でした。

 

ジョブ理論が描く「顧客像」

ジョブ理論がマーケティング方面からも熱い関心を集めている理由のひとつは、ジョブ理論が捉えている顧客像(あるいは消費者像)と現在のマーケティングが抱える課題意識との親和性にあるのではないでしょうか。

ジョブ理論ではユーザーが商品の購入(雇用)をすることの本質を(その全てがそうだとはしていませんが)表面的な欲求や必要性の充足(お腹が空いたからハンバーガーを食べるなど)ではなく「特定の方向性やゴールに向けて進歩を遂げる」ことだとしており、

もの余りの時代となり購買体験の主導権が企業ではなく消費者の側に移ってきている現代の状況とも重なります。

そのような点で現代の消費者像にのっとった新しいインサイト分析を行う際にもジョブ理論が活用できる点は多いでしょう。

YouTube動画広告がスキップ不可を拡大。その理由と影響は

YouTubeにおける「スキップ不可」=いわゆる non-skippable な動画広告が拡大される見込みです。これまで一部のパートナーのみ利用可能だったフォーマットが、これから順次すべてのパートナーに向けて開放されるとのこと。

すでに日本でも複数メディアが報道しています。

参考:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1808/26/news017.html

これまでYouTubeの動画広告(TrueView広告)と言えば、スキップ可な配信フォーマットというのが特徴でした。ユーザーにとってはスキップボタンを押すまでの5秒さえ我慢をすれば良かったですし、広告を出稿する側のクライアントとしても、スキップされれば広告料は発生しない、つまり無駄な広告出費を抑えることができました。

ではなぜ今回YouTubeではスキップ不可の広告が拡大されることになったのでしょうか。それにはやはり「広告収入」が関係しているようです。

そもそも、今回この発表が行われたというソース(情報源は)下記の動画です。

タイトルを見れば、今回の発表はスキップ不可の動画広告の挿入によって広告収入を「得る」側のユーザーに向けたものであることが分かります。

言うまでもなくYouTubeという動画プラットフォームは様々なクリエイターからの動画コンテンツの投稿によって成り立っています。彼ら・彼女らの収益を安定させることは、YouTubeというプラットフォームの基盤を強化することにももちろん繋がるでしょう。

 

広告を”見る”ユーザーへの影響は?

それではふだん、YouTube、そして動画広告を「見る」側のユーザーは、15秒もの間、強制的に広告を視聴するしかないのでしょうか?これには、すべての動画広告挿入のうち、スキップ不可がどれ程の割合を占めるか、という点がポイントになりそうです。発表では8月23日以降、徐々にスキップ不可フォーマットを拡大するとのこと。ユーザービリティを保持するというYouTube側の観点からも、スキップ不可の動画広告ばかりが急に流れ始めることはないでしょうが、広告収入を高めたい動画クリエイター・常に新しい広告施策を欲している広告主・代理店がその配信フォーマットに飛びつく可能性はあります。

またあなたがYouTuberなどの動画をよく見る場合は、この広告フォーマットとよく出会うことになるかもしれません。YouTuberのミニ番組風のコンテンツは、特にミッドロール(動画の途中で流れる広告)でスキップ不可と相性が良いです。もし接触したら、クリエイターへの投げ銭だと思って受け入れてあげましょう。

他には、Bumper Ads という個別の広告フォーマットとの兼ね合いからも15秒スキップ不可の広告は PC環境での配信がメインと予想できます、なのでモバイルで全てのYouTube視聴を完了させることは有効かもしれません。

 

広告を”出す”企業への影響は?

先ほどもいったように新しい広告フォーマットということで、すぐ試してみたい方も多いでしょう。しかしここでもやはりユーザービリティ・ユーザー視点をもって広告の配信フォーマットは慎重に決定してみて下さい。スキップ不可の広告を出してみて、最初はその完全視聴率の高さに驚くかもしれません。が、実はそれは当たり前なことだとすぐに気づくでしょう。むしろ、それでも完全視聴しない(離脱する)ユーザーというのは、わずか15秒の間に、あなたの広告に「つまらなさ」はおろか、不快感、憤りまで感じさせてしまった可能性があるのです。そしてその時、広告費は変わらず請求されます(おそらく)。

つまりこれまでの「スキップ可」の広告配信と「スキップ不可」の広告配信とでは、狙うべき広告効果/動画視聴の”質”が異なることには注目するべきでしょう。そのための各キャンペーン・レポーティングでのKPIの見直し作業は、それほど簡単なことではありません。

動画視聴がさまざまなデバイスでポピュラーな行動になることで、WEB動画広告の視聴も、いわゆる「リーンフォワードとレイドバック」と呼ばれる2つの視聴態度が混在してきています。動画広告での訴求内容も加味して、適切なコミュニケーション設計を果たしたいですね。