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運用型広告の現場から知るべき重要ポイントを解説 【セミナーレポート 前編】

登壇者紹介:

マクロミル 広瀬信輔

株式会社マクロミル マーケティング&プロダクト本部
シニアプロジェクトマネジャー
Digital Marketing Lab」運営者
広瀬 信輔
2008年に株式会社マクロミルに入社、現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。マーケティング情報メディア「Digital Marketing Lab」運営、フリーのマーケティングコンサルタントとしても活動。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティング支援などを行っている。著書『アドテクノロジーの教科書(版元:翔泳社)』

幾多の問題をきっかけに今改めて注目が集まっている運用型広告。株式会社オムニバスが運用型広告の成り立ちや現場で起こる様々な誤解について語るセミナーを開催しました。株式会社マクロミルでマーケティング&プロダクト本部シニアプロジェクトマネジャーを務める広瀬氏をゲストに、運用型広告の現場に蔓延る誤解やジレンマを解説し、昨今の現場で何が起きているのかを明かします。

 

今こそ知りたい運用型広告の理想と現実

■「運用型広告」と「運用型でない広告」の違いとは

広瀬:運用型広告を理解するまえに運用型でない広告とは何なのか、例えば純広告ですよね。広告を掲載したい広告主に対して、「5万円/月、支払いは前払いで。請求書発行はできません」だったり、「10万円/月です。5000imp保証します。」などですね。今はimp保証の純広告も増えてきていましたが、当時の主流はだいたい期間保証でした。ほかに最近ちょっと面白かったのが、私が運営しているメディアで広告掲載したいというオーダーが海外から来たんですけど、「CPMで売ってくれ」というのが最初の一言からありました。もしかしたら海外では純広告であってもCPMで買うような文化が根付いているのかなと思いました。昔は、広告を売っている媒体の方が少なかったので売り手の方が強かったんですね。なのでメディア側の条件でクライアントが広告を掲載していました。

対して運用型広告の話ですが、2002年ころにリスティング広告が誕生しました。この時には、掲載する、しないを「運用」で決定できるようになりました。そうすると売り手(メディア・広告枠)と買い手(広告主)の数が逆転し、今度は買い手有利になりました。

 

■「運用」とは?外部要因に対する理解がキーポイント

では運用とは何なのか。入札キーワードの登録、単価の調整、配信スケジュールの管理、そういったチューニングできるパラメーターが多くありますが、決してチューニングばかりではないんですね。例えばGoogleの担当者などから話も聞いてみると、最近であればモバイルファーストインデックスですとか、リンク先のページの構造も大事になってきます。そこから「ページの表示スピードを改善したい」というような広告運用とはまた違った相談も最近増えてきています。また、例えばチューニングする指標のひとつとして「掲載順位」があると思いますが、こちらも商材のポジショニングなどマーケティング的にしっかりとした根拠をもって判断していくというプロセスも必要になります。

ほかには Google trend で商材・キーワードの季節変動を見ることもします。面白いところで「SEO対策」というワード、一般的な感覚だと季節商品などと関係なさそうですが、検索ボリュームは4月に伸びるんです。じゃあ、なんで4月に伸びるのかというと、新入社員でしたり、新しい部署に異動になった時に、よくわからなくて「SEO」関連のワードで検索する人たちが増えているのではないかと予想しています。なのでこういった外部の要因についても想像を巡らせて、予想するというのが運用者の責任の範囲なのかなと思っています。

 

山本:媒体社が自社のアドサーバーで広告配信していた純広告のみの時代から、売れ残った枠を外部の企業に委ねるようになり、第3者サーバーから配信をかけるようになりました。そこがDSP等の発達により複数のバイヤーが存在するようになってきて、複数のプレイヤーによる入札型になってきた。昔は発注をかけたらあとは媒体社にお任せで広告の単価も変動がなかったのが、バイヤーサイドで入札をして広告枠を変動単価で競り落とす事が必要になってきました。なので需要がたくさんあるときに単価の変動があって、枠のコントロールが、媒体社ではなく、広告主でもなく、市場状況によって一番影響されるようになってしまったのが現在の運用型広告を理解する上で最も重要なポイントであると考えています。つまりアンコントローラブルな外部要因の影響が増えてきているということですね。

いま運用型広告で問題視されているいろいろな問題って、ここを理解しておくとすごく分かりやすいと思います。

 

100%保証はNG?運用型広告の基本的な考え方

島田:運用型広告っていろんな外部要因によって変動するところが大きくて、例えばクライアントから「この金額で、この期間、何imp出してください」というオーダーがあったとすると、それって先ほどのような入札と応札によって決められるような運用型広告だと、なかなか100%保証するのが難しくなります。代理店営業とクライアント様との握り方の問題にもなりますが、仮に100%保証して、100回の再生を100円でしますという話を事前にしてしまうと、しばしば炎上してしまう。これはわかりやすく再生の話にしましたけれど、クリック数でも、CPAでも同じで、とにかくひとつの指標数値を絶対だと固定してしまうと、のちのち合わない、みたいなネガティブな状態になってしまいます。

じゃあ出ないとなった時、ご理解いただくというのが一番良いんですけれど、もっとひどい場合ですと、自社のマージン削って費用を増えたようにして出たことにするとか。出るまで出して、超えちゃった分は請求しないとか。そういう不健康なことが起き得るんじゃないかなぁと思います。

 

広瀬:運用型広告って入札で決める以上絶対ではないことが前提なので、そういう保証をしてくれというようなオーダーがあることが私としては驚きなんですが、やっぱり一部はいらっしゃるんでしょうね。これって何が問題なんでしょうか?

島田:やっぱり広告って、マス広告・純広告の考えを根強く持たれている方が一部いるのかなと思っています。例えば「100万円で100万部発行される新聞のこの枠を買っている」という意識が残っていると、在庫や単価が容易に変動する運用型広告の仕組みをなかなかご理解してもらえないのかなぁと思います。

 

■規模拡大と効率、作業効率と予算の誤解

島田:運用型広告の別の課題としては、いわゆる規模も伸ばして効率も上げたいという話。今の広告施策が効率的にできているとした場合、そこから1歩外に出た多少効率の悪いユーザーまで手を伸ばさないといけないんですね。言ってしまえばすごく当たり前の話ではあるんですけれど、やっぱり効率と規模っていうのはある意味では相反していますということですね。

 

広瀬:これって新しい(効率の悪い)ユーザーの獲得に費用がかかるって面ももちろんあるんですけれど、実は入札規模を増やすために入札単価を上げると、今まで100円で取れていた人まで120円くらいで入札してしまって、意外とCPAって急に上がってしまったりするんですよね。もうちょっとCPCとか上げるだけでCPA何倍にもなったりするので、そのラインとかは何度も失敗しながらでないと良い塩梅は見つけられないと思いますね。

 

島田:これ、若干愚痴っぽくなってしまうんですが広告予算と実際に作業する人の工数の話です。先ほど例にあったリスティング広告、ものすごくパラメーターたくさんあります。そうすると、月100万円の案件と、月10万円の案件でも初期の設定とか、日々のチューニング作用にかかる工数はあんまり変わらないこともあるんですね。そこが運用型広告って顕著なことなのかなぁと。リスティング広告に限らずバナーでもSNS広告でも動画広告でも同じなんですが。

ただ予算が少ないからといって手を抜くのか、予算が多いと至れり尽くせりするのか、というのは間違っていると思っていまして。とにかく予算が低くてもある程度工数がかかりますってことをしっかりと知って貰うってことですね。

 

■KPI設定は広告主側の理解も大事

島田:「キャンペーンが始まる1番前に広告予算をかけて何をするのか」についてお話いたします。例えば「サイトに人を呼びたいからクリック単価を見るよ」と決めながら、ふたを開けてみるとCVも計測していて、それが取れてないからどうしようか、とか。こういう話が十分できていないケースが結構多いです。どうしても最初のうちはコミュニケーションの回数が少なくてまだ浅くて、お客様の考えている目標や事業の全体像まで深堀できていない。進んでいく中で広告主の新たな悩みが出てきてしまう。

山本:これって割とありがちで、社内でも営業サイドと運用サイドとで効果指標をめぐってコンフリクトしてしまったり。他にも間にいろんな人や会社が介在してしまうとこういうことが起こりやすいのかなと。

広瀬:結構広告主側の責任もあるのかなと思います。主としても、最初に認知をとってそのあと理解、そのあとCVを刈り取るっていうステップを踏むべきことはわかっている。しかし経営層などに持たされるミッションとしては、CVだったりすることの方が多いんですよね。だから担当者レベルでは意思疎通がちゃんと取れていたとしても、そのうえの決済権限者がちゃんと説得できているかどうかが重要。年代から考えても特にデジタルの面でマーケターの上がマーケターでは無く、Googleのアカウントも触ったことがなかったり、ディスプレイ広告って何?っていうレベルの人に対して、どういう武器をもつのかっていうのは課題ですね。

(続きは後編で)

登壇者紹介:

マクロミル 広瀬信輔

株式会社マクロミル マーケティング&プロダクト本部
シニアプロジェクトマネジャー
Digital Marketing Lab」運営者
広瀬 信輔2008年に株式会社マクロミルに入社、現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。マーケティング情報メディア「Digital Marketing Lab」運営、フリーのマーケティングコンサルタントとしても活動。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティング支援などを行っている。著書『アドテクノロジーの教科書(版元:翔泳社)』

株式会社オムニバス トレーダー 島田 新人

株式会社オムニバス 代表 山本 章悟 (モデレーター)

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