6秒の動画広告はどう違うのか。
※せっかくなので縦型のアイキャッチ画像を置いてみました。
動画広告の新しいフォーマットとして「5~6秒」という超短尺のものが生まれてきています。
その背景にあるのはスマートフォンの普及で、
24時間ハンディに持ちあるくというモバイルデバイスの上では、
15秒や30秒の動画広告をよけいに「煩わしく」思うユーザーが増えてきているのです。
例えば YouTubeにおけるTrueViewでも最近は約6秒尺の動画広告が配信されることがあります。
正式には 「バンパー」と呼ばれるメニューで、
(参考:YouTube、5月より約6秒間の『バンパー広告』を開始。印象を与え、あっという間に終わる「広告の俳句」)
主にはスマートフォンで閲覧するユーザー向けに、煩わしさを感じさせる間もなく広告を完結させるという狙いのようです。
(2016年現在、日本では未だβ版としてのみの公開となっており、扱えるのは
一部クライアント様に限られているというような状況です。)
他にも
MixChannelやC-Channelなどの広告枠を扱っている ファイブ株式会社のSP動画広告枠ネットワーク FIVE でも、
5〜6秒の超短尺に対応した動画広告メニューが存在します。
こちらはMixChannel,C Channel など媒体側の掲載コンテンツが10秒程度の短尺であるため、相性が良いことが想像できます。
しかし実際のユーザー体験として、わずか5秒の動画というのはどういう効果が期待されるものなのでしょうか?
従来の「スキップする」までと同じ時間
5秒という時間は、これまでの一般的な動画広告における「スキップする(できる)」までの時間と同等です。
従来の長めの動画広告では、このわずかな間に「スキップではなく視聴して!」というメッセージを詰め込むというパターンのクリエイティブも多くあります。
例えば新垣結衣さんの「十六茶」のcmや、
斉藤工さんの「日清カップヌードルスーパーライトプラス」のcm。
やはり「スキップしないで見てほしい」ということへのハードルの高さが伺えます。
テレビCMにも「5秒」は存在する
言われてみれば当たり前の話でもありますが、テレビCMでだって、何も全てが15,30,60秒という尺ではなく、
5秒間のCMも存在します。
もっとも数の多いところでは、「この後は〜〜○○!」というような、
番組の合間に流れる次の放送番組の宣伝でしょう。
(CMかというとタイプが違うという気もしますが)
またこの機会にいろいろと調べていると、関連深いニュースが過去には出ていました。
『5秒CMに存在感 定型破り、ひと声で勝負』 -朝日新聞デジタル-
http://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/TKY201002020224.html
2010年のこの記事ですが、当時ネットに押され始めていたテレビCMの新しいパターンとして、
5秒尺のテレビCMが展開されて注目を集めていました。
またさらに時代を遡ると、昭和40年代前後にはもっと多くのCMが5秒尺だったそうです。
ネットやモバイルで5秒動画が誕生するずっと前から、テレビも様々な試行錯誤を繰り返していたんですね。
今度こそ5秒動画広告は浸透するのか。
そんな、意外と昔から存在していた5秒動画ですが、
再びモバイルという場所を獲得して、今度こそ世に返り咲くのでしょうか。
ポイントは下記の3点かと思っています。
・ナショナルクライアントから口火が切られるか
YouTube広告のスキップなし5秒(6秒)動画広告は日本では2016年夏時点で、アドワーズのβ版機能としてのみ
展開されています。なので一部の(おそらく規模の大きい)広告主のみが出稿できるような状態です。
その中の広告主側から実験的な活用が今後増えていくかどうかに注目です。
・「15秒」「30秒」の動画以上の価値をどう出すことが出来るのか。
5秒動画は従来の動画広告の「スキップしたくなる→スキップする必要がない」という点から、とかく「モバイルフレンドリー」という面が強調されることもありますが、
フレンドリーであるがゆえに〜〜というメッセージングに強い、
というような、特別なメリットがないと普及は難しいでしょう。
・強いタグラインを設定できるか
大泉洋を起用したリクナビNEXTの最新のキャンペーンでは、
YouTubeの6秒広告が活用されていました。
(6秒動画素材はyoutube上で見つからず、下記はフルバージョン)
15秒や30秒版の場合、
仕事/生活に悩む女性の横を大泉洋さんが歌いながら通り過ぎる、というストーリーですが、
6秒版では「フレフレ、人生。」というタグラインのみを大泉さんが正面を向いて唱えるという映像になっていました。
超短尺動画を紹介する場合、特に海外などでは
映像の美しさ・かっこ良さが光る事例が特別に選ばれていますが、短い動画広告でこそ1行でメッセージが伝わるような強いタグライン・キャッチコピーが活きてくるのではないでしょうか。