これからのブランディング広告に重要な「ユーザーに共感され選ばれるコミュニケーション」とは
セミナー概要:
開催日:2020年11月20日 (金)
セミナータイトル:オムニバス×NewsTV×Outbrain共催ウェビナー 《三井住友カード様ゲスト登壇》
アフターコロナのブランディング広告を考える
ゲスト:
三井住友カード株式会社 マーケティング本部 マーケティング統括部
グループマネージャー/エバンジェリスト 原 央介氏
SNSが急速に広まった2010年代以降、ブランドマーケティングにおけるコミュニケーションは「マスに対して広く行う」だけではなく、「個人との関係を確立する」ことが求められています。コロナ禍においてこの流れは加速しており、一方的なブランドステートメントや表面的な製品訴求では、生活者に振り向いてもらうことが難しい時代となりました。
「個人との関係を確立する」ために重要なのは、「ブランドにまつわるストーリー」や「ブランドが個人のライフスタイルにどう価値をもたらすのか」など、生活者の共感を得られる情報発信を通して“選ばれるブランド”になることです。
今回はその好事例として、三井住友カード株式会社 マーケティング本部 マーケティング統括部 グループマネージャー/エバンジェリスト 原 央介氏にお話しいただいた、「Have a good Cashless.」をブランディングキーメッセージに掲げたキャッシュレス決済におけるブランディングコミュニケーションをご紹介します。
コミュニケーション戦略の設計に「ゴールデンサークル理論」
キャッシュレス決済市場は、2017年までの10年間、右肩上がりで約2倍に成長している稀有な市場です。しかし日本のキャッシュレス決済比率は世界の先進国と比較すると低く、政策としてキャッシュレス・消費者還元事業が行われるなど、現在国を挙げて推進している真っ只中にあります。このような市場環境において、三井住友カードが立てたキャッシュレス決済戦略は、『「お店=事業者」と「利用者=消費者」の2つのお客様起点でキャッシュレス社会の課題を解決し、利用しやすい環境をつくる』です。
具体的に推進するコミュニケーション戦略の設計でまず取り組んだのが、「戦略」の言語化です。未来と現在のギャップを確認するための「前提」を明らかにしたうえで、マーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル理論」に基づき、「Why」なぜやるのか、「How」どのようにやるのか、「What」なにをやるのか、という4つの要素に分けて関係者でディスカッションを重ね、言語化を進めました。
「前提」では、三井住友カードが戦略として掲げている「事業者」「消費者」の2つのお客様視点に、キャッシュレス決済市場に大きな影響を及ぼす「国」の視点を加えて市場環境を整理。それぞれのポジティブとネガティブを洗い出し、どこに課題があるのかを明らかにしました。
次に顧客理解を得るために重要な「Why」では、「なぜ三井住友カードはキャッシュレス社会を推進していくのか」目的を明確化。三井住友カードが目指すのは、「消費者・事業者に、安心・安全・便利なプロダクトを提供することで、自由でポジティブな生活に向けたキャッシュレス・エクスペリエンスを送ってもらいたい」という未来です。
そして「How」で、メッセージをどう伝えていくのかを具体化。三井住友カードが目指す未来を実現するためには、現金信仰や現金主義といった、今まで当たり前だと思っていたことに対する問題提起を行うことで、「お金ってなんだろう」と考えてもらう必要があると考えました。
そのうえで、キャッシュレスに一歩踏み出してもらうための障壁を取り除く「What」――つまり提供するプロダクトを考えるアプローチです。
このように「ゴールデンサークル理論」を用いて戦略を言語化し、「三井住友カードが提供するいいキャッシュレス決済を使うことで、いい毎日を送ってほしい」という想いから「Have a good Cashless.」というコンセプトが生まれたのです。
プロダクトリリース前のコミュニケーションは、フルファネルで広く認知・検討喚起
クレジットカードは、テレビや広告を見て、その瞬間に申し込むのではなく、ニーズが顕在化した時に申し込むという検討商材です。三井住友カードは、健全なキャッシュレス市場を創造するため、従来の申込検討ファネルではなく、フルファネルへのマーケティングに転換しました。
この時期に伝えたメッセージの目的は、「どう(How)関わるのか」で具体化した内容に沿って「問題提起」を行い、それから三井住友カードが実現したい未来を見せることで、キャッシュレスに興味を持つ人を増やすことです。そのために計4つのCM動画を制作しました。プロローグから第1話・第2話までは「問題提起」を行う内容で、約半年をかけてクリエイティブを変えながら配信し、最後の第3話では「キャッシュレスの未来」を見せています。
これら4つのCM動画を様々な属性の方に合わせたストーリーで届けるため、TVに加えて、オムニバスが提供するサービス「VISM」を活用しました。「VISM」は、数多くの提携メディアが、各メディアの読者が関心を持つ内容で、動画を埋め込んだ記事コンテンツを制作してくれるサービスです。
例えば、主婦向けメディアでは、「子供と一緒でもキャッシュレスならお会計がスムーズになり、買い物がより楽しい時間になる」という記事、旅行系のメディアでは、「キャッシュレスなら旅行先で両替や盗難のストレスに囚われることなく、楽しくスマートな旅行を楽しめる」という読者目線の記事が掲載されました。このように、様々な属性の方に興味をもってもらうためのコンテンツを、ジャンルの異なる数多くのメディアに載せることができます。
この時は15媒体に記事が掲載され、特に反応が良かった記事は、アウトブレインが提供するレコメンドウィジェット型ネイティブアドの仕組みを使い、リーチの拡大を図りました。レコメンドウィジェット型ネイティブアドとは、WEBメディアの記事の最後に表示される「他にこんな記事がおすすめです」というレコメンド枠への掲載広告です。動画の再生数や記事のPV数、読了率などを複合的に見て反応が良かった記事を選んで掲載しているため、効率よくリーチを伸ばすことができます。
プロダクトリリースに向けて、顕在層へのアプローチ・拡散に注力
プロダクトリリースに向けた施策では、顕在層へのリーチを取ることが最大の目的となります。実際にカードを持って使ってもらえるように、還元キャンペーンを実施したほか、興味関心層に向けて、リターゲティングやリスティング、アフィリエイトを使ったアプローチを行いました。
キャンペーンや広告以外の施策でも、ファネルダウンを図るミドルファネルの施策に注力しました。消費増税のタイミングで始まったキャッシュレス・消費者還元事業による「キャッシュレス」への関心の高まりに合わせてキャッシュレスをさまざまな角度から正しく理解してもらう」サイトを立ち上げたところ、検索順位は1位を獲得。また、潜在層との接点を増やすため、拡散性に秀でている公式Twitterアカウントを成長させていきました。Twitter限定のキャンペーンはもちろん、業界・業種の垣根なく多様な企業公式アカウントとコラボ企画に参加する等、従来の情報発信では関われなかった方との接点を作るための投稿も行い、現在では18万人を超えるフォロワーを獲得しています。
プロダクトリリース時には、Twitterライブ配信が非常に有効な打ち手でした。News TVの提供するサービス「ビデオリリース」を利用し、ライブ配信用の動画と、ライブ配信内容を事後配信するための短い動画を制作。Twitterでのライブ配信には、若年層に人気のあるタレント・お笑いコンビを起用した、新カードとアプリを使ったお買い物企画を配信しました。さらに、出演者が実際に購入したものをプレゼントする「フォロー&リツイートキャンペーン」を組み合わせることで、多くの方がキャンペーンに参加、カードの入会数増加にも寄与しました。
実施した施策の中には、当然に成果への貢献値が高かったものと低かったものがあります。しっかりと検証を実施して言えることは、「事前の設計で考え抜いていたかどうか」が如実に成果の差として表れるということです。限られた予算で最大の効果を出すためにも、いかに成功率を積み上げられるかどうかが重要と考えています。なお、貢献値が高い施策は応用して実施範囲を広げることで、より多くの成果に貢献できます。三井住友カードはこの手法を用いたことで、プロダクトリリース時のカード入会数が過去最高を記録したのです。
「Have a good Cashless.」のコミュニケーションに使われたソリューションのご紹介
「Have a good Cashless.」のコミュニケーションの事例では、各フェーズでオムニバス・アウトブレイン・News TVの3社のサービスが活用されています。
今回、この3社のサービスをパッケージ化した、「コンテンツディストリビューションパッケージ」をリリースしました。このパッケージは、「News TV」のビデオリリースサービスでユーザーに共感される動画を制作します。制作された動画は、オムニバスの「VISM」というプラットフォームを使い、動画を埋め込んだ記事を自動生成し、多種多様なメディアで配信します。各メディアで配信された記事の中から効果があった記事に対して、アウトブレインのレコメンドウィジェット型ネイティブアドでブーストをかけることで、さらにリーチを広げていきます。動画制作からコンテンツ拡散、リーチ獲得まで一括で行えるパッケージです。
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株式会社オムニバス
VISM担当
Mail:vism@e-omnibus.co.jp