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サッポロビール「サッポロ SORACHI1984」から学ぶストーリーブランディングの3つのヒント

セミナー概要:

開催日:2021年7月9日 (金)
セミナータイトル:初公開の事例あり!サッポロ SORACHI1984のブランドストーリーの伝え方

ゲスト:
サッポロビール株式会社 新価値開発部 兼 ビール&RTD事業部 SORACHI1984ブリューイングデザイナー 新井 健司 氏
TRENDEMON Marketing Director 栗田 宏美 氏

イベントページ:https://peatix.com/event/1961500/view

たくさんの広告や情報があふれる現代。生活者の1日あたりのメディア接触時間は400分を超えると言われており、企業が商品の特徴やベネフィットを伝えるだけでは生活者に届かないことも珍しくありません。そこで、伝えたい情報が埋もれないようにするために、商品のバックグラウンドや魅力にストーリー性を持たせ、体系立てて発信する「ブランドマーケティング」が重要視されています。

オムニバスが開催した本セミナーでは、サッポロビール株式会社 新価値開発部 兼 ビール&RTD事業部 SORACHI1984ブリューイングデザイナーの新井健司氏にご登壇いただき、「サッポロ SORACHI1984」(以下SORACHI1984)のブランドストーリーの伝え方について詳しくご紹介いただきました。

この記事では、SORACHI1984のストーリーブランディングの秘訣をはじめ、ターゲットに対する情報の届け方、ブランドリフトの計測方法など、セミナーで語られた内容の要約版としてご紹介します。

サッポロビール・新井氏が語る、「SORACHI1984」発売までのストーリー

サッポロビールは「誰かの、いちばん星であれ」というビジョンを掲げ、「ひとりひとりの心を動かす物語で お酒と人との未来を創る 酒類ブランドカンパニーを目指す」会社です。「誰かの」とあるように、明確に‟この人”に深く刺さるようなマーケティング、ブランディングを展開しています。

その中で「SORACHI1984」は、『ホップへのプライド。』『このビールは、世界をかえるかもしれない。』『「伝説のホップ ソラチエース」だけを使ったビール。』といった、明確なストーリーや味わいを根拠にしたメッセージを打ち出しているブランドです。

まず、「SORACHI1984」発売までのストーリーを振り返ります。サッポロビールは1876年に開業し、翌年から現在に至るまで、ビールの原料となるホップの研究開発を継続しています。原料の開発をしながらビールを作るメーカーは世界でもかなり稀有な存在です。我々が「伝説のホップ」と呼んでいるソラチエースは1984年に生まれ、2019年に「SORACHI1984」が発売されました。生まれてから発売するまでの35年間、いろいろな人達によって繋がれてきたストーリーを、我々は‟伝説”と呼んでいます。

ソラチエースは当初、担当者が「こんなに香りの強いものはビールに使えないのではないか」と上司に言うほど衝撃的な香りだったそうです。その上司が「何かに使えるはずなので捨てずに残しておこう」と言ったことが、のちに「SORACHI1984」の発売に繋がります。

今では‟香りの良いビール”はほかにもに出てきていますが、ソラチエースが生まれた当時の日本では、‟のどごしや爽快にゴクゴク飲めるビール”が求められていたため、個性的なホップは日の目を見ることはありませんでした。

潮目が変わったのは2002年。アメリカのとあるホップ農場のマネジャーがソラチエースを偶然見つけ、様々なクラフトブリュワーに話をしたことから火が付き、アメリカからヨーロッパに飛び火しました。これが世界でソラチエースが有名になるきっかけとなったのです。

先ほど述べた通り、当時の日本ではソラチエースはまったく知られておらず、私自身、サッポロビールで働いていながらも、留学先の醸造家から聞かれて初めて知ったほどでした。その時、「こんなに世界でムーブメントを起こしているのなら、日本人にもちゃんと飲んでもらう機会を作らなければいけない」と痛感し、帰国後にマーケティング部門に異動したのを機に「SORACHI1984」の発売に向けて動き出したのです。

ソラチエースは“個性的な味”でターゲットも狭いため、すぐに発売できたわけでありません。本当にニーズがあるのかを5年かけてテストしました。そして、瓶や樽、缶といった様々な形での発売を繰り返し、ようやく2019年に「SORACHI1984」として全国で通年発売を開始しました。

ブランドポジションがブレない軸を作る

このような“ストーリー”を持つ「SORACHI1984」のブランディングにおいて、大切にしていることが3つあります。

1つ目は「ブランドポジションを明確にする」こと。ビールはセグメントが明確に分かれています。酒税の違いによって、ビール、発泡酒、新ジャンル・第3のビール、価格面でプレミアムビール、そして最近よく耳にするクラフトビールと多様な種類があります。

その中で「SORACHI1984」はどれに該当するのかというと、……実はどれにも当てはまりません。既存のセグメントに当てはめるのではなく、「ソラチを飲むのだ」というメッセージとともに「ソラチ」というブランドとして打ち出していくことを一貫しているのです。


軸足として、‟ソラチエースを100%使った、サッポロにしか作れないビール”というメッセージでお客様にブランドポジションを示し、ファンになった方々に向けては、「SORACHI1984」が“ブレない”ことを約束するメッセージとして「選ぶに足るビールになる。」と打ち出しています。こうしたブランディングにより、個性的なビールではありますが、おかげさまで多くのファンの方々に支えていただいています。

“動き”を見せ続けることでファンの熱量を上げる

2つ目は「動きを見せ続ける」こと。特にストーリーブランディングに関わることですが、ローンチまでのストーリーは作っていても、そこで終わってしまい、その先がなかなか作れないことがよくあります。

お客様を巻き込んでいくためには動きを見せ続けることが非常に重要です。「SORACHI1984」では、35年に及ぶストーリーを知っているファンの方々にこれからも満足してもらい続けるために、その先のストーリーとして‟「SORACHI1984」は何をしていくのか”を明確にしています。

ソラチエースは海外から火が付いたという背景もあり、そのほとんどがアメリカ産です。そこで、2020年より北海道上富良野町で国産ソラチエースの生産拡大に取り組んでおり、将来的には‟国産ソラチエースだけで「SORACHI1984」を作ること”を「夢」として打ち出しています。

「SORACHI1984」はTVCMを打っていません。HPやSNSでの発信、店頭販売、一部の飲食店で飲むことができますが、認知度は高くありません。一度知っていただいたお客様にどっぷりとブランドの世界観に浸っていただくためにも、様々な切り口からブランドやホップの面白さを伝えています。

例えばWebサイトでは、歴史やホップ育成の様子などの周辺情報をコンテンツにして、継続的に更新しています。ほかにも、ソラチエースホップが生まれた9月5日に合わせて誕生祭イベントを開催するなど、ファンの方の熱量を上げ、熱狂的なファンを作るためのコミュニケーションを地道に進めています。

‟届け方”を工夫して、正しい情報を正しいターゲットに届ける

3つ目は「正しい情報を正しい人に届ける」こと。「SORACHI1984」はかなり尖ったブランドであるため、情報の‟届け方”が重要なのです。たとえば、LPを設置する際には、しっかりとストーリーを記載し、そのサイトを訪れたお客様に正しい情報を正しいコミュニケーションで伝えることを常に意識して作っています。

情報を伝える手段はたくさんありますが、プレスリリースはそのまま掲載されるだけだったり、本当は掲載したくない場所や、ターゲットとは異なるユーザーが多い媒体に掲載されてしまうこともあります。また、文字だけではニュアンスが伝わりにくかったり、時には意図しないことまで書かれてしまうケースもあります。それらの課題解決のために、今回、オムニバスの「VISM」を活用させていただきました。

「VISM」は、入稿した広告動画やインタビュー動画を基にした、第三者発信の記事コンテンツを複数制作、メディア掲載できるサービスです。今回の取り組みでは、オムニバスで制作した私(新井 氏)のインタビュー動画を、様々な媒体で記事化していただきました。私自身の言葉で語ったことをベースにしていただいているため、文字だけでは伝わりにくいことや、インタビュー中に熱が入るところがうまくピックアップされており、さらにそれぞれのライターが各媒体に沿った内容で書いてくれるため、「伝えたいことが伝わる」とても良い記事に仕上がったと感じています。

例えば、あるメディアでは『伝説のホップ「ソラチエース」を味わおう!SORACHI1984』という切り口で記事が出たり、また別メディアでは、歴史の部分に焦点を当てた『発売前に苦節35年!?「SORACHI 1984』の誕生ヒストリーがすごすぎた』という記事が出たりと、メディアごとに少しずつ違った角度から記事を執筆・掲載いただきました。


記事内容の充実度も高く、狙ったターゲットのメディアに良質な記事が掲載され、数値面でも非常に良い結果を得られました。媒体や記事構成によって数値は異なりますが、例えば、読了率は60%程度と非常に高い結果を残すことができました。

また、今回はマーケティングツールの「TRENDEMON」も活用し、記事を見たユーザーが、結果的にどのようにソラチに触れているのか、ソラチに対してのエンゲージメントが高くなったのかも計測しました。

「TRENDEMON」はアトリビューション分析により、ブランドリフトやエンゲージメント強化など、定量化しづらい指標を測定できるほか、記事を読んだ方に対して簡単なアンケートを取ることも可能です。ブランドリフトやブランド理解を分析できるため、特にストーリーブランディングにおいては、今後どの層をターゲットにしていくべきか、どんなメッセージを出していけば良いのかを考える上で非常に役立ちます。

サッポロ「SORACHI1984」のストーリーブランディングに使われたソリューションのご紹介

サッポロ「SORACHI1984」の事例では、「正しい情報を正しいターゲットに届ける」手段として、「VISM」と「TRENDEMON」が活用されています。

「VISM」はオムニバスが独自に開発した全く新しい動画広告プラットフォームです。お持ちの広告用動画やインタビュー動画を入稿するだけで、様々なWebメディアのライターへ、動画を基にした記事コンテンツ執筆のオファーをかけることが可能です。130以上のWebメディアが参画しており、幅広く様々な商材やサービスに対応しています。

「TRENDEMON」は、Walmartをはじめとする大手グローバル企業を中心に数百社以上が導入するイスラエル発のマーケティングツールです。ワンタグのみで、Cookieに依存しないトラッキングが可能となり、「VISM」と組み合わせることで、コンテンツが他のコンバージョンポイントに対しどのくらい貢献しているのかを可視化できます。

本イベントでご紹介したサービス”VISM”はこちら

サービスの詳細はお気軽にお問合せください。

株式会社オムニバス
S DIV.担当
Mail:info@e-omnibus.co.jp

Google社推奨の”5Step”から学ぶ小売店舗のデジタル活用

小売業界では日々販売や集客のチャネルが広がり続けており、デジタル・アナログが融合したマーケティング施策が必須となる時代になりました。
しかし一方、小売業界では消費者がチャネルを横断した行動を取る中で「来店」や「購入」などの行動をとるため、デジタルだけの施策では効果が見えづらく、何を指標とすればよいのかわからないと言うお悩みがよく聞かれます。
そんなお悩みに対して、Google社が提唱する小売業界におけるデジタル起点のマーケティングの考え方をご紹介します。

Google社提唱の5Stepの考え方とは?

ここではGoogle社リテールチームが推奨するデジタル化の進め方を5Stepに分けてご紹介します。この考え方は、継続的なデータ蓄積の価値に着目していることで、短期的な刈り取りなどの視点だけでなく、中長期的なデジタルマーケティング施策全体の効率に重点を置いています。
また従来の最終ゴールであった来店販売数に繋がる設計の為、小売店舗においてはマーケティング施策の可視化の助ける考え方でもあります。

5Stepを用いた小売業界のデジタル活用

Step1 トライアル施策
まずここでは、イベントや新商品発売の訴求など期間限定で実施可能なWEB施策を実行します。
具体的な期間は1~2ヶ月ほどと想定します。
それにより、
・自社サイト内での回遊状況
・購入ページへの到達率
などの購入に至るまでの分析を行うことが出来ます。

Step2 恒常施策
次に、年単位で継続的に広告配信を行います。
ここでは認知拡大とWEB上でのデータ蓄積を目的として動きます。
広告を運用していく上でのデータを貯めながら、アカウントの最適化を図り広告本来の効果も上げていきます。

Step3 来店計測
そして、デジタルとアナログが融合するフェーズに入ります。
来店を指標としたWEB広告を運用します。
一定規模を超えるWEB上での恒常施策を行うことで、来店計測が可能となり、更に効果的な施策が打てるようになります。

この段階からは蓄積されるデータの中身が、WEB上でのデータと来店データの2種に分かれます。

Step4 動画施策・間接効果計測
ここからはデータ活用の領域です。
Step3までに蓄積したWEB上でデータをさらに活用して、より効率的に、商品の販売に繋がる広告配信施策を見つけていきます。この段階以降は専門的なデータ分析が必要となってきます。

これまでのWEB施策の課題として、購入などのCVに至るまでにどの広告手法に接触したかわからず、最後にCVに寄与した広告のみが評価されてしまい、認知拡大向きのディスプレイや動画広告の評価は低くなりがちということがありました。
その課題に対し適切に分析を行うことで、購買までの過程の行動を見ることができ、どの施策のどの要素が購入に寄与したのかを可視化することができます。
例えば、ディスプレイ・検索・動画広告などがWEB上での間接的な接点といえるでしょう。
配信実績と設定面で一定の条件を満たす場合にしか見ることが出来ないうえに、
閲覧や分析に専門的な知識が必要なため知見のある代理店をお選びいただくことをおすすめします。

Step5 データ統合活用
最後に広告配信データだけではなく、貴社が持つ顧客データ(CRM)などを掛け合わせてデータに基づいた有効なデジタルマーケティング手法を模索していきます。
この段階では、販売店舗・Google社・知見のある代理店で連携する必要があります。
Google Analyticsの有料版であるGA360で収集した広告データとCRMデータを掛け合わせることにより、データドリブンな自社顧客育成が可能になります。広告における精度の向上も期待できます。

まとめ

ここまでWEB上でのデータ・来店データ・顧客データを活用したデジタル施策戦略の考え方を網羅的にご紹介してきました。段階的に施策を実行し、分析と検証を重ねることで、中長期的なデジタル施策を成功に導くことが出来ます。
また後半部分には専門的な知識を要する施策が多いため、運用面だけではなく全体設計に知見のある代理店を選ぶ必要があります。

まずはトライアルやご相談でもお気軽にお問い合わせください。

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S DIV.担当
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