ビューアビリティやアドフラウドなど、インターネット広告の問題を解説 【セミナーレポート】

【セミナー概要】
本セミナーでは、Twitter、Facebookなど数々の大手プラットフォームで広告計測の認定ベンダーにも採用されているMOAT APAC and Japan Director のシャオ様をお招きし、広告のビューアビリティ計測や取引の透明性について世界ではどのような議論がなされているのか、実例と共にご講演頂くセミナーを開催致しました。

※ExchangeWire Japan様に当セミナーの内容が掲載されました。
(2017/5/26)「ビューアビリティ・広告取引透明性のグローバル潮流を語る」-オムニバスイベントレポート-第1回; http://www.exchangewire.jp/2017/05/26/news-moat-report-1/
(2017/5/30) 「ビューアビリティ・広告取引透明性のグローバル潮流を語る」-オムニバスイベントレポート-第2回; http://www.exchangewire.jp/2017/05/30/news-moat-report-2/

 0.業界への問題提議〜透明性のある広告取引を〜

 

MOATとは、“ To make brand advertising more effective online”をビジョンとする3rdパーティ計測ツールベンダーです。測定対象としては、主に広告のビューアビリティやヒューマントラフィック、アドフラウド等をメインに行っています。米国ではプレミアムパブリッシャーに対して9割のシェアを持っており、また多くのブランド広告主にも用いられています。

今回は、MOAT社の事業ドメインとも非常に密な関連性のあるテーマで、世界的なブランドチーフマーケティングオフィサーが行ったひとつのスピーチをご紹介致します。

Marc Pritchard, P&G, on Better Advertising Enabled by Media Transparency at IAB ALM (full video)

今回は計測ツールベンダーとして、このスピーチの中から要点として挙げた3点に沿ってお話したいと思います。

Only Buy Human and Viewable inventory

Adopt the MRC Viewability Standard

Platforms Must Support Third Party Measurement

 

1. Only Buy Human and Viewable inventory(ビューアブルであり、かつ人が見ているトラフィックのみを買う)

インターネット広告はビューアビリティが保証されているわけではありません。インターネットというメディア自体がブラウザやアプリによってアクセスされていて、スクロールされることも多い中で、広告枠は上に張り付けられていることもあれば下に埋もれているままのこともあります。

ビューアビリティは媒体側がサイトのレイアウトや構成、記事コンテンツと広告のバランスなどの面でコントロールできる部分であり、正しく計測を行うことで改善や新規メニュー開発に繋げることも出来ます。

一方、Human(人間)によるトラフィックか否かについて。人では無いトラフィックを指して NHT(non-human-traffic)、アメリカでは主に IVT(Invalid Traffic)と呼ばれています。意味合いとしては「効果の無いトラフィック」ということになります。

 

その「効果の無いトラフィック」の中身を見てみますと、さらに2種類のトラフィックに分けられます。General と Sophisticatedです。ジェネラル(一般的な)とは「悪意のない無効なトラフィック」を指しており、インターネットの世界で必ず存在するようなもの、データセンターからの通信やサーチエンジンによるクロールなどです。こういったものは多くの場合、自分はロボットですよというような表示を媒体側に渡していて、媒体側もこれは人間ではない、というのが分かるようになっています。

そして Sophisticated(ませた、詭弁)なIVT とは、悪意のあるトラフィック。ハイジャックされたデバイス、マルウェア、クッキースタッフィングなど色々なカテゴリがあります。主にはトラフィック稼ぎ、それによる広告収益稼ぎを狙うようなものです。

どちらも人間のトラフィックではないので、欧米の広告主ー代理店ー媒体の中では基本的に報酬は発生しないという合意は取れています。APACではこれから測定して割合などを調査するので、これからこういう論議が始まると思います。

 

このIVTの計測に関しては、ベンダーの認定は基本的にMRCという組織が行っているのですが、去年まではジェネラルな方のみに対応していれば認定が下りていたところが、今年以降はもう一方の悪意のあるトラフィックの方についても対応しないといけなくなってきています。

 

ではそのIVTが、現状どの程度発生しているのか、2016年Q3の日本でのデータを出してみました。デスクトップおよびモバイルWEBのバナー、それぞれ約2.5%と2.2%。デスクトップの動画、モバイルWEBの動画については1.9%、2.0%になっています。

また中身を見てみるとほとんどがジェネラルのIVTが占めており、今のところ大問題にはなっておりません。つい最近ある日本の新聞紙で結構な金額の広告費が不正でとられているのではないかという記事がありましたが、それも今後JIAAがいくつかの3rdパーティベンダーを用いた調査を行うとのことです。

IVTについては、個人的に「花粉症」と同じようなものだと思っています。「いつ来るかわからない」部分があり、1つ悪いベンダーが誕生すると数値も大きく変動する可能性がありますので、そちらは常にトラッキングしておく必要はあると思います。

 

2. Adopt the MRC Viewability Standard (ビューアビリティについてMRCの基準に準拠する)

世の中的に色々な基準が媒体事や代理店事に混在していたので、統一的な基準を1つ設けないとビジネスに支障をきたすという話ですね。ビューアビリティの基準を定めたのは5つの団体でして、iab, ANA, 4A, MRC, dcm です。MRCがいちばんメインになるメディアレーティングのグループでして、業界の中で80~90年の歴史があり、古くはラジオや新聞紙のレーティングを行ってきた非営利の組織です。

MRCの定義によればビューアビリティとは以下のようなものです。

 

 ・ディスプレイ広告に関しては、 50%以上表示かつ1秒以上表示

 ・動画に関しては 50%以上表示かつ2秒以上表示。

 ・モバイルの基準はデスクトップに準拠

 

これが他の、例えばあるグローバルエージェンシーでは、ディスプレイは100%をオンスクリーン(ただし表示時間の規定なし)、動画広告は100%オンスクリーンを動画尺の50%の長さかつ音声ONで、という基準が採択されています。

動画に関する基準がとても厳しいのが分かります。一方でディスプレイに関する基準は「100%オンスクリーン」と厳しいように見えつつ、ユーザーが(特にモバイル環境で)スクロールする速度を考えると時間規定がない状態で正しく「広告が見えた」と言えるかどうかは怪しいです。

このようにたくさんの基準が混在しているので、一番ベーシックになる基準、ここではMRCの基準を採用し、統一することでビジネスを分かりやすくすることが大きなメリットです。

 

3. Platforms Must Support Third Party Measurement (プラットフォームは3rdパーティ計測ツールをサポートするべきだ)

これは、冒頭紹介したスピーチの中では「狐に鶏小屋を守らせるな」と表現されています。ビジネス上の取引を行うために、第三者による公平な目が欠かせないという意図だと思われます。実際、2016年に発表されたFacebookの動画広告評価指標の誤りなど、媒体者自身が自分たちの広告価値を決定してしまっている「囲まれた庭」状態の問題点を示す事実が複数出て来ました。

MOATは3rdパーティ計測ベンダーとして現状で唯一、twitterでの動画広告、Facebookとinstagramの動画広告、YoutubeやSnapchatやPinterest などを測定できる立場にあります。

 

4.ビューアビリティの先〜ブランドセーフティに関する議論〜

つい先日のニュースですが、イギリスでハバスグループがYouTubeへの広告出稿を差し止めたという報道がありました。これが示唆していることとしては、HumanとViewability が保証されたとしても、次の一歩として「ブランドセーフティ」の問題があるということです。ブランド広告がどのような記事やコンテンツに配信されるか。例えばテキストコンテンツであればキーワードベース、動画広告であれば音声認知や画像認知を用いた技術でしっかりとコンテンツの中身の精査をしていくことが重要になってくると思います。

ブランドセーフティを守るための手法(のタイプ)として「Pre Bid  Post Bid」があります。

Pre-Bidとはつまり、viewabilityの低いimp等に対してそもそもプログラマティックでbid(入札)しないというアプローチ。一方Post Bid とは、取引形態として手売りの枠やPMPなどのプレミアムな広告枠についての事後的なアプローチ(広告商材に反する内容のニュースが発生した際に公共広告への差し替えなど)のことを指します。

 


(左: MOAT.inc シャオミン シャオ様 右:株式会社オムニバス 山本)

 

コンテンツ読了率計測の指標を紹介

ページのコンテンツ的価値を測る「読了率」とは?

読了率とは、そのページに訪れたユーザーがどの程度ページ内コンテンツを読み進めてくれたのかを調べるための指標です。

 

オウンドメディア上でのコンテンツマーケティングや、ネイティブアドキャンペーンにおいて、PV数などの量的指標以外にその広告効果を測定する指標として用いられる場面が増えています。
今回は、計測ツールベンダー大手MOATのサービスを用いて、コンテンツの解析を行う際に推奨されている指標について一部紹介します。

 

計測されたPV(Page Views Analyzed)

もっとも基本的なPV数の計測にも、フィルターの掛け方によって3タイプが存在します。
ひとつはまったくフィルターされずトラッキングされたもの全て。
ふたつ目は一般的な無効のトラフィックを除外したもの。
最後がデフォルトの計測タイプで、一般的なものに加え、高度な(Sophisticated)な無効トラフィックへのフィルターをかけたもの、とあります。

 

アクティブページ滞在時間(Active Page Dwell Time):

ユーザーがページ上に注意を払っていた平均時間。この他に「注目してページをロードした割合(Focused Loads Rate)」という指標もあり、ユーザーが注意を払ってロードしたセッションについて、注意が逸れたと思われるタイミング(スクロールなどの動作が一定時間発生しなかった)までの時間を指していると思われます。

アクティブページ滞在時間の中央値(Median Active Page Dwell Time):

上記の「アクティブページ滞在時間」が「平均」を算出したものであるのに対し、こちらは中央値を求めている。中央値とは「上から数えても下から数えても同じ順位の数値」ですので、極端に短い滞在時間(0〜1秒)や、極端に長い滞在時間(1時間〜)が存在しても影響を小さく抑えることが出来ます。

スクロール%とスクロール速度(Scroll%, Scroll Velocity)
スクロールが発生したページビューの割合。ユーザーがスクロールする際の速度。下方向と上方向、それぞれ別々に計測することも出来ます。

スクロール深度(Scroll Depth):
ユーザーがページのどの深さまでスクロールしたか。

 

読了率に関する指標のベンチマーク

これら指標の値に対するグローバルなベンチマーク(目標値)をMOAT側から定めています。参考までに、 「コンテンツタイプ」かつ「デスクトップ」の場合のベンチマーク値(2016年 Q3)は以下でした。

アクティブページ滞在時間:70.7秒

スクロールされる割合:78.1%

スクロール速度:86.9 px/s (下方向 74.0px/s 上方向 167.1px/s)

スクロール深度:62.3%

 

もちろんこれらは、アドタイプ(ディスプレイなのか動画なのか、コンテンツアドなのか)および、配信先のデバイスやOSなどによっても変化してくるでしょう。

より詳しい内容は「お問い合わせ」よりご相談ください。