ロングセラーブランドのクリニカが動画コンテンツにチャレンジする理由~VISMで見えたデジタルの「リアルな反応」~

4月27日、AdverTimes Days 2017セミナーにおいて、ライオン株式会社横手弘宣様と弊社代表山本によるトークセッションが行われました。横手様はライオン株式会社の「クリニカ」ブランドをユーザーに浸透させるため、ユーザー視点に立った新しい動画コンテンツを制作。クリニカの成功事例を通して、これからのコンテンツマーケティングに重要な視点について講演頂きました。

 

登壇者

ライオン株式会社 ブランドマネジャー 横手弘宣

ライオン株式会社 ヘルス&ホームケア事業本部 オーラルケア事業部 ブランドマネジャー 横手 弘宣
Profile

2000年ライオン株式会社入社。営業を6年間経験後、マーケティング本部へ。掃除用クリーナー「ルックブランド」の担当として、「まめピカ」・「おふろの防カビくん煙剤」などの開発を担当。その後2年間、実務を離れてMBA留学へ。卒業後、現職に着任。

 

 

アドタイデイズ2017に登壇する 株式会社オムニバス代表 山本章悟

株式会社オムニバス代表取締役山本章悟

2008年株式会社オムニバスを設立。アドネットワーク、オーディエンスターゲティング事業を中心に国内市場の近代化を推進する。

 

 

 

多様化するメディア、ユーザーに届かない動画コンテンツ

横手氏(以下、横手):みなさんこんにちは。ライオン株式会社の横手と申します。現在、オーラルケアの分野でクリニカというブランドを担当しています。クリニカというのは歯磨きから始まり、もう36〜37歳のかなりのロングセラーブランドです。今までどおりのやり方ではユーザーにクリニカブランドが浸透しないといった中、今回動画によるコンテンツマーケティングにいろいろとチャレンジさせていただきました。

山本:早速質問ですが、今回動画の中でもコンテンツをフル活用されたということで、ここに至った経緯とその事情を教えていただけますか?

アドタイデイズ2017に登壇する ライオン株式会社 ブランドマネジャー 横手弘宣
横手:我々マーケティング担当者の現状として、情報が錯綜しているような時代においては、いい動画コンテンツを作ってもなかなかお客様に届かないというような悩みがあります。そういった中で、コンテンツの内容や見せ方の力点を「モノやものづくり」というところからシフトさせたという背景があります。毎日歯を磨くけれど、クリニカブランドを想起してもらう瞬間がないといったときに、お客様の価値観とか生活とかライフスタイルに合った形でその製品の持つ価値を届けてあげるという意味で、生活の文脈を我々のマーケティングの起点としなければならないということを今一度考えているところです。モノ・機能といったところに対するこだわりを持ちつつ、それに+αとして、お客様に共感してもらえることが、モノが売れる必須のマーケティング要件になっていると考えています。

今回の動画において、商品やブランド名は、ほぼ出てこないようなコンテンツを作らせていただいて、それがうまくいったというところです。

山本:そうですよね。

横手:紹介している商品は、曲がる歯ブラシで子供が歯ブラシを口に入れたまま走り回って転んでも怪我をしないようにと配慮された製品です。

メーカーの立場からするとその技術の素晴らしさを語りたくなるのですが、お客様の生活の中でその技術は価値を持ちません。例えば、曲がる・折れない・安全ハンドルの歯ブラシを使ったら、子供が笑顔になって歯を磨いてくれるようになった、とか。そういう日常生活の中での歯磨きの体験がお客様の求めている価値であると考えて、動画もお子様が楽しく歯磨きをするということに力点をおいたコンテンツにしました。
(動画URL: http://clinica.lion.co.jp/hahahapark/douga/egao/

ライオンがモノではなくコト軸で動画コンテンツを活用した経緯と狙い

ターゲットはママ。ユーザーが体験する価値を起点に動画を制作

横手:こういうコンテンツですが、やはり商品をもっと出したいし、ブランドをもっと売り込みたいという本音はあります。しかし、それをやると歯ブラシが生活にもたらす価値がお客様に届かないので、このようなコンテンツを作りました。

山本:広告主さんの社内で、商品やブランド名を出さないこの手の企画は通しにくいイメージがあるのですが、どうでした?

横手:今前提にある問題意識としてモノと機能だけの訴求では、なかなかお客様に届かないということがあります。そこをどう越えていくかというのは、全社で取り組まないといけない問題だったので、「そこはまずやってみるか」という意味で割り切りましたね。

山本:これはママが見るメディアを意識した作り方もされているのでしょうか?

横手:我々が動画を作るときにはマス用のCMをよく作ってきたので、商品やブランドを見せがちなのですが、今回はソーシャルメディアの中でお客様が見たいと思うような文脈にならなければいけないので、そこはコンテンツの中でもかなり意識しました。リアクションを見てもママやパパ、それ以外にもリアクションは大きく広がって、実際の売り上げにも貢献したと思っています。

 

VISMによる動画コンテンツの流通・拡散

山本:このようなコンテンツを作られた中で、今回VISMを使用していただいたのですが、その目的を少し教えていただいてもよいでしょうか?

横手:こういう動画を作っても誰にどう接触させるかというところで空振りをする場合が多く、まったくもって宝の持ち腐れになってしまうのでコンテンツをいかにターゲットにいち早くしっかりとぶつけることができるか、というところで今回VISMのシステムを使わせてもらいました。

VISMを活用した目的は動画コンテンツとコンテキスト(社会的文脈)のマッチング

*VISMとは?:株式会社オムニバスが提供する動画コンテンツを流通させるためのコンテンツマーケットプレイス。広告主が制作した動画を、媒体社が選択し、記事+動画として掲載する。ユーザーは日常生活の中で、いつも見ている媒体に触れ、より自然な形で広告動画を見てもらえる仕組み。 URL: https://vism.tv/

山本:ママをターゲットにした動画なので、ママの媒体に動画に加えてしっかり記事を入れて紹介することができるということですよね?

横手:コンテンツがしっかりと文脈にのって、その方々が見るそのメディアというところに的確に打つことができたと思っています。

山本:ありがとうございます。

横手:結果的に、この動画が一人歩きでどんどん広がっていったことに加えて、実際に動画を見たあとに我々のオウンドメディアにまた再来訪してくれる方も増えています。コンテンツが持つ力というのが商品の売り上げにも直接結びついてきていると思います。

山本:この種のコンテンツを公開すると、初動は再生数が出るのですが、そのあと尻すぼみになることが実は多いです。今回の動画は、しっかりとママにターゲットが当てられて、コンテンツの内容も非常にいいので、動画公開後も広がっていきました。ターゲットとコンテンツのマッチがうまくいったと感じました。

次に、実際VISMを使用した結果をお伺いしたいと思います。まず、私の方から数値についてお話しします。

まず、ポジティブPV。自ら見たいと動画を訪れてくれた人が約4万7千になっています。コンプリーションが2451で、コンプリーションレートが29.3%。セッションタイムにおいては、4万7千回来ている人の平均滞在時間が68秒です。これは1分以上滞在してくれているというかなり高いデータが出ています。次にスクロールレート。しっかりスクロールしてくれたかどうかが86%。スクロールデプスが57.4%まで見てくれたという結果になっています。

考察としては、記事PVはすごい安くとれていますが、若干ビューレートが低く、啓蒙動画なので一番初めの引きがちょっと弱かったと思っています。ただ、3分の動画は、3割くらいの人が最後まで見てくれていて、かなり良かったと思います。

アドタイデイズ2017に登壇する 株式会社オムニバス代表 山本章悟

あとは動画の再生が少し弱かったので、ソーシャルメディアを使ったアプローチを行いました。『It Mama』というママ媒体に動画をそのまま掲載してもらったことが再生数においては貢献していて、動画の再生が8万回、シェアが2386回、動画の投稿のクリックが2万回、いいね数が3177ということで、ここでかなり再生数も含めて上昇しました。コメント数も195コメントとれていて、反響を呼ぶことができたということになっています。

横手さん、これをみていかがでしたか?

横手:おっしゃる通りで、VISMを使ってよかったと思うことは、まず初動で課題を感じたら、次の一手をすぐ打つことができ、次の一手がしっかりと結果に結びついているというところです。我々のマーケティングにとって一番重要なのは、この定性データです。コメントから何を読み取ることができるのかといったときに、そのデータをもとに議論をすることができた、ということが非常によかったです。実際にお母さんのコメントもありましたが、お父さん、それ以外にも医療従事者の方や歯医者さんが、非常に多くコメントしてくれたというのがあります。

 

一手目の反響から次の一手が生まれる。

山本: 200件くらいコメントがあり、その中から共感・気づき・自分事・オススメという風に、コメントの内容でカテゴリを分けてみました。

少しご紹介すると、共感では、「素敵」「勉強になった」「お子さんの歯磨きにご苦労されている方も多いと思います。動画のように目線を変えてみるとよいかもしれませんね。参考まで」。

気づきですと、「歯磨き嫌いな子供にはこういうアプローチがあったのか。合点。」「子供も大人も楽しく笑顔なのがいいよね」。

自分事だと「電動歯ブラシ並みの動きでやると喜んでやらせてくれるけど、今晩こっちを試してみよう」。

オススメだと「ママさんパパさん、ぜひ見てみて」と。非常に好意的なコメントがたくさん集まりました。

横手:こういうコメントの中からまた次の共感が生まれていくので、実際のモノの認知がお客様の文脈で広がっていくというところが非常によかったかなと思います。

山本:なかには「パパの動画はないの?」といったコメントもありましたよね?

横手:パパの動画も次にやります。パパももっと参加した方がいいといったコメントを言ってくれるお母さんもいました。

山本:他に何か見ている中で気づいた点はありましたか?

横手:コンテンツを文脈に則ってお届けすると、我々の想像以上の波及効果があるということでした。先程言ったような歯科従事者というところが多くのコメントを入れてくれているというところですね。

山本:実際コメントをつけてシェアしてくれていた人の中の33.9%が歯医者さんでした。

横手:我々にとって歯医者さんはステークホルダーさんの一人ですので、ブランドイメージの向上というところでも非常によかったのかなと思います。

その他にもバイヤーの皆さんも感動してくれて、これを店頭で流したいとか、いわゆるオムニチャネルで流通さんのネット販売のページにこのコンテンツを貼ってそこから商品の購入に繋げていくような次の一手にも広がっています。

アドタイデイズ2017に登壇する ライオン株式会社 ブランドマネジャー 横手弘宣山本:今後さらに御社のマーケティング上でこんなことやりたいなとかイメージはありますか?

横手:まずしっかりとノウハウを貯めて、質の高いコンテンツを作り続けることが第一手ですが、その部分でもVISMや山本さんの力をお借りして、どういうコンテンツを作るとより広がりを期待できるのかとか、そういう議論ができるといいなと思います。

山本:ありがとうございます。ちなみに第2回のコンテンツがもうすぐですよね?

横手:第2弾もまたVISMを使わせていただいて配信をします。1回目がかなり共感に寄せたところなのですが、次回はお父さんが仕上げ磨きにチャレンジするという少しポップなものでもう一度挑戦していきたいと思っています。

山本:私もパパということで見たらすごく共感しまして、僕ら頑張って皆さんの目に届けるように配信していきますので、ぜひ楽しみにして待っていていただければ嬉しいなという感じですよね?

横手:はい。

山本:横手さんありがとうございました。

メディア掲載 – ExchangeWire Japan

ExchangeWire Japanさんに「「ビューアビリティ・広告取引透明性のグローバル潮流を語る」-オムニバスイベントレポート-第1回、第2回」として、弊社が2017年3月に開催した第八回自主セミナー「最新計測ツールによるテクノロジー武装の方法」の内容が掲載されました。

前編:http://www.exchangewire.jp/2017/05/26/news-moat-report-1/

後編:http://www.exchangewire.jp/2017/05/30/news-moat-report-2/

コンテンツ重視の時代に欠かせないWEBメディアのブランディング論〜【セミナーレポート 後編】

セミナー概要:

デジタルと非デジタル、それぞれの視点を交えながら「今求められているメディアとは何か」を紐解くセミナーを開催。BRUTUSやVOGUE、GQなど数々の媒体で編集長を歴任し2016年にクオリティーメディア「Byron」をウェブ創刊された齋藤和弘様とネットメディア運営に精通するINCLUSIVE株式会社 代表取締役の藤田誠様に講演頂きました。

開催日:2017年2月21日 @中目黒(株式会社オムニバス本社)

講演内容:

「コンテンツ重視の時代に考えるこれからのWEBメディア論」(講師:齋藤和弘氏・藤田誠氏)
「動画コンテンツを流通させるためのマーケットプレイスVISM」(株式会社オムニバス)
パネルディスカッション

 

前編はコチラ

 

■WEBメディアで儲かるのは創業者と社長だけ?

斎藤 WEBと雑誌でコンテンツの作り方は変えていませんが、雑誌のコンテンツの作り方はもっと複雑かつ人やお金のかかり方がもっと多いです。なので、考え方は一緒でもお金のかけ方は全然違います。入ってくるお金がそもそも桁が1つ違うくらいなので、使えるお金もそれに比例して違ってきます。

例えば、WEBではみんなが同じようなレベルでライター費用とか編集費用とかをかけていますが、雑誌の場合はその「ランク」にも驚異的な差があって、画像1つとっても1流の写真家と3流のそれでは100倍くらいの違いになります。そしてその100倍も高い制作費用を賄えるだけのインカムは、WEBにはまだ無いということです。簡単に言うと、WEBメディアで儲かるのは創業者と社長だけです。残りの人は本当に少ない金額で蟻のように働いているじゃないですか。この何年間かWEBの世界を横から見ていて、こんなことでいいのか?と非常に感じていました。

 

藤田 ちなみにByronのライター費用は他のネット媒体と比較しても高くなっています。ライターとしてのレベルの高い人たちに、出来るだけ紙媒体と同じくらいちゃんとお支払いしたいと思っています。それというのは先ほどの斎藤さんのお話にもありましたが、この今の時代に90年代の雑誌の作り方が果たしてネット上で実現できるのかという挑戦なので、それをやってみたいと思っているからです。

創刊から約1年経ちこれがマネタイズできるようになってきました。「わかってくれる人だけ買ってくれればよい」というクライアント様が「わかってくれる人だけ読んでくれればよい」というByronに出会ったような感じです。

 

■PVが倍増せずに広告料が倍増した理由

斎藤 ハイエンドのブランド広告主と、日本のそれに対応するWEBメディアというのは非対称形になっています。つまりハイエンドブランドの広告出稿にふさわしいメディアの数が足りないんです。この状況は、私が現役のころだった7年ほど前からそうだったので、今はもっとそうだと思います。ハイエンドブランドのマーケッターにとってネット広告は「バジェットの5%、10%を使いなさい」という指示がブランド本国から出されるほどの重要課題であるにも関わらず、出稿に使えるだけの媒体が無いんです。使える媒体というのはつまり、一定以上のコンテンツのレベルを保った媒体ということです。

私は今、もうひとつファッション系のWEBメディアでコンサルを務めていますが、そこではこの2年間、ほぼ倍々ゲームで広告売上が上がって来ています。別にそのサイトのPVが2倍、3倍になった訳ではありません。コンテンツの質が同等以上のサイトが他に無いことで、結果的に入ってくる広告の量が2倍、3倍に増えてきているのです。

 

山本 これまでそういったWEBでの掲出先に困っている広告主さんって、経済系の媒体に出されていましたよね。おそらくそれも「他に出すところが無い」というのと同じ状態なのかと思います。

 

■ブランディングにコスパなど無い

藤田 僕らは媒体社の営業として動くこともありますが。狙っているターゲットによって「質」っていうものも変化すると考えています。例えば僕は東洋経済が大好きですし、つまり僕にとっての良い媒体ですけれど、他の人にとっても良い媒体であるか、質が高いと言えるかというとそうじゃないですよね。質っていうのは人によって違いますから、それに合致した広告がちゃんと違和感なくはまれば良いと思うのですが。その辺りの目利き力みたいなものを、広告主さんや代理店さんにはつけて頂けると良いのかなぁと。もちろんそれをちゃんと伝えるのも媒体側の仕事ですけれど。

山本 我々が感じる問題としては、WEB広告業界などに居るとすぐに「PV、クリック単価」という話になってしまい、広告が高く売れるイメージがあんまり無いところかと思います。そういう話もある側面では必要ですが、それはそれとして、いかに価値を高めるかという話との棲み分けも大事だと思います。

藤田 WEB広告という話よりも、広告主・代理店・媒体者という関係の中で、広告っていうのは広告主のマーケティング課題を解決するための手段で、さらにその中間KPIがクリック単価などの数値指標じゃないですか。なのでフォーカスするのなら最終的にはいかにクライアントの課題を解決するかという点にフォーカスした方が良いと思います。

斎藤 WEB上だと年間を通すとか、タームの長い広告が無い気がするんですね。通常、雑誌でハイエンドブランドの広告出稿の話をする場合、最低でも6カ月単位なんですよ。下手すると1年単位で話をします。そういう長い期間の中で、総額いくらで、ページ数がいくらで、と決めていきます。これはどちらかというとオフィシャルスポンサードに近い考え方ですよね。でも、WEB広告ではこういう話をほとんど聞きません。

斎藤 オリンピックのスポンサー契約みたいなことをやればいいんですけど、なかなかできない。それはなぜかというと、そのメディアが、集客(PV)は日によって出たり入ったりすると思いますけど、誰に対してどんな意図があるのか、何をどうするのかっていうのが明快に見えないんですよ。そこが無いまま他とも違わずにいると、あそこもあればここもあるっていう横並びにしか見えない。そしたら年間スポンサードのような契約をしなくても、いちばん数字の良いところにすればいいじゃん、という話になってしまう気がしますね。

クライアントもお金を出して広告を載せるっていう意味で、ある種参加をします。その「参加」っていう意識が弱いと、広告を見てもらったかどうか、クリックされたかどうかという、、、

山本 アドテクノロジーの悪いところで、Excelで、このメディアのクリックレートはこうだ、みたいな。ああいう世界になっちゃうんですよね。どこのメディアに参画しているかっていうよりも、パフォーマンスを買っているっていうか。

斎藤 コスパで考えるとダメなんです。コスパで考え始めちゃったら、ブランディングなんて絶対できません。

藤田 特にByronではタイアップを意識していて、タイアップっていうのはByronの世界観と、クライアントの世界観をくっつけるからタイアップなわけで、一緒になるとどういうことが出来るのか、普段の記事よりも面白く作らないといけないし、腕の見せ所だと思っています。そういう意味で、ネイティブアドっていうのはどう考えるんだと。あれは誘導枠として媒体社に入るわけで、クライアントさんが誘導した先にあるオウンドメディアっていうのはつまりどういうメディアブランドにしていかないといけないのかを考えていかないといけないですね。

 

■生半可な気持ちでのオウンドメディア運営は「おこがましい」

山本 今年、日本のブランドマーケターが一番取り組みたい施策は何か?っていうアンケートで「オウンドメディア」が1位になったことがあって。ここはどういう風に成功させたらいいのかなと。

斎藤 私には専門外なので分からないことは多いですが…でも、自分のところでメディアが作れると思っているブランドマネージャーはおこがましいんじゃないですか?メディアに出稿した経験こそあれ、メディアを作った経験はないのに、オウンドメディア=つまり自分たちのメディアを作ってそのプロデュースやディレクションなんか出来る訳がないんです。そういう意味で「おこがましい」。もうちょっと謙虚に、堅実に。良いライターからテクニカルな人材から流通を組み立てる技術者から、すべて集めてきてひとつのチームにするしかないと思います。その時にオウンドメディアが、自社のメディアとして、ほかの競合会社のオウンドメディアとどう違うものに育てていくのかは、コンテンツにお金をかけるしかない。そこで最終的に欲しいのはおそらくマーケティングデータな訳だから、そこはテクノロジーが必要ですが、コンテンツがかなりしっかりしない限り、生半可なものでは「でもこれってあの会社が作った記事でしょ?」でユーザーにとっては終わってしまって、意味がないと思います。

藤田 今のは斎藤さんの「Byron 編集長」としての考えですよね。僕が思うのは、普通に毎月150本~300本くらいの記事を作っていると思うんですね、どの媒体さんも。自分たちの属する限られたジャンルの中で、さらにものすごく頑張ってそれだけコンテンツ制作されている。オウンドメディアっていうのは、平均的にどのくらいでしょう?月に多くて8本くらい、または週に1本で月4本くらいの制作量だと、世界観っていうのはなかなか作るのは難しいんじゃないかなぁと思います。「オウンドコンテンツ」とは確かに言っても良いかもしれませんが、オウンドメディアとまでは言わないほうがいいんじゃないか、という気もしています。

山本 企業のメディアの場合どのくらいの記事を書くのが良いでしょうか?

藤田 普通にメディアとして運営したいんだったら1日2~3本は出していかないと、訪問して貰えないというか、何度も見てもらえる、日常のローテーションの中に入らないんじゃないでしょうか。そうしないと、集客のために広告で誘導をかけるだけの場になってしまいますよね。

山本 ありがとうございました。

■—ゲスト紹介—■

斎藤 和弘 (さいとう かずひろ)

編集者/明治大学特任教授。平凡社「太陽」編集部を経て1996年からマガジンハウス「BRUTUS」編集長、2001年にコンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンの代表取締役社長に就任、「VOGUE」の編集長も兼務。2009年末に退社し、フリー編集者・メディア開発コンサルタントとして活躍中。2016年より「Byron」創刊編集長。ファッションブランド論の第一人者。明治大学特任教授も兼務。

藤田 誠(ふじた まこと)

INCLUSIVE株式会社代表取締役。広告代理店、ゲーム会社、ウェブメディア、ポータルサイトでの勤務を経て、2007年、メディア収益化に特化したブティック型エージェンシー、INCLUSIVE(旧targeting)設立。小学館、集英社、三栄書房、扶桑社、CCCメディアハウス、マガジンハウス、TBSテレビ、CBCテレビなどの雑誌媒体のデジタル化、新規ウェブ媒体の事業立案・運営・収益化を多数行う。ウェブメディア界の仕事人。

〜セミナーではこの後会場の皆様からの質疑応答を行いました。ご興味のある方はぜひお気軽に下記までお問い合わせ下さい〜

本件に関するお問い合わせ:
株式会社オムニバス  セミナー担当  藤本
TEL: 03-5725-8317  MAIL: info@e-omnibus.co.jp