動画(広告)

不動産仲介のハウスコムがゼロから動画活用を始めてブランディングに成功するまで

不動産仲介業を展開されるハウスコム株式会社様では2014年頃より動画活用を開始され、宣伝・販促の枠に捕われずユーザーに楽しんで貰えるような動画によるコンテンツマーケティングを展開されています。

今回は同社サービス・イノベーション室 室長の安達文昭様に、ゼロから動画活用を拡大される際に意識された理念と、これからの企業に求められる情報発信のカタチについてお伺いしました。

ハウスコム 安達文昭様

動画広告の目的はブランディング強化

私たちハウスコムが動画広告の施策を検討し始めたのは2014年頃でした。当時、「ハウスコム」という企業ブランドの強化という課題があり、当初はテレビCM出稿も検討しましたが、一般的に必要とされる広告予算が見合わず、何か別の方法は無いかと調べて回っていました。

そこで様々なインターネット系のサービス会社などに話を聞く中で、そもそも今の時代に、テレビを見る人がどれだけいるのか?という疑問を持つようになりました。

特に若年層についてその傾向は顕著で、テレビではなくネットで動画を見る人が当時でも非常に増えてきていました。それであれば莫大な予算をテレビCMに投下するよりは、ネットで動画を流すことのほうが実現性も高いし効果も期待できるのではないかと考え、ネット動画を中心に施策を行うことになりました。

もっとも、動画自体が当社として初めての取り組みで、ノウハウも何も無い状態で制作した第一弾の動画は社内の人間からも良い評判は得られないような仕上がりでした。

そのような中で、たまたま動画広告に強いオムニバスさんから直接お話を聞く機会があり、動画の企画・制作の段階からお手伝い頂くようになりました。

「社内体制」から見直し、社長直属のチームづくりへ

動画に関する制作のノウハウ以外に、企画を検討する際の社内体制にも課題があることが分かりました。

例えば動画について、Aというクリエイティブ案とBというクリエイティブ案があった場合に、今までの体制では最終的な決定までに多数の担当者の承認が必要だったのですが、その際おのおのが自身の主観で判断をしてしまい、いっこうに話がまとまらないという事態が起こっていました。

そこで大切にしたのは「プロジェクトに関するキーマンを定めて、その中で決定したものは何がなんでも実行する」ということで、弊社の場合は社長の田村と、私が所属するサービス・イノベーション室の範囲内で決議できるチーム体制の構築を行いました。

ですので、動画を開始した前と後では、サービス・イノベーション室という部署の立ち位置や役割など、大きく変わりましたね。

一見、動画と関係のないポイントのように思えますが、この社内フローの構築を行っていなければ、その後色々なアイデアを取り入れた動画施策は実現できていなかったと思います。

動画の作り方も届け方も、最優先は「お客様目線」

動画を企画・制作する過程で得た気づきの一つでもあるのですが、よく言われる「お客様目線」という考えについて、もう一歩踏み込んで考えるようになりました。

これまでにも勿論「お客様目線」をもったサービスを心がけてはきましたが、WEB上でどういう情報を伝えるのかという話に限って「こんな動画はネガティブな会社イメージに繋がるのではないか」など、無意識に「会社目線」という前提が入り込んでいました。

もともと社長を含めチーム全体で「ただの宣伝をしても面白くない」という考えは共通して持っていましたので、動画は常にお客様目線で楽しい・面白いものかどうかを優先し、内容の調整については最終的に私たちよりもむしろオムニバスのクリエイティブチームさんに行って貰いました。

オムニバス 動画事例オムニバス 動画制作事例その2
※動画「帰りたくなる家」篇では、街中をパルクールで駆け抜けて帰宅すると、自宅内で大量のからくり装置が出迎えをしてくれるという2段構成に。

数値的なKPIは、資料請求や来店などいわゆるダイレクトなCV(コンバージョン)ではなく動画のPV数などを主に見ていました。しかしそれ以外にも、例えば動画を見たことをキッカケとした当社HPへの訪問ユーザー数なども日ごと増えたり、「ハウスコム ○○動画」のような関連ワードからの流入も増えたりと、効果を実感する場面は多かったです。

※制作した動画はオウンドメディアだけでなくオムニバスの動画コンテンツマーケットプレイス「VISM」を通じて複数メディアへ記事広告として掲載されました。他の動画広告よりも押し付けがましく無く、動画のコンテンツとしての面白さ・共感性を損なわずに拡散できます。

動画コンテンツマーケットプレイス VISMVISM(https://vism.tv/)のサービス概念図

オウンドメディアでも多様なコンテンツを活用し「動画」の可能性を実感

ハウスコムでは今回の動画プロモーションの他にも、AIを用いたWEBサービス「AI検索」の実装やオンライン内見機能など、お客様に新しい顧客体験を提供するべく様々な施策を実施しています。

ところがそれをきちんと世の中に浸透させられていたのかというと、残念ながらそうではありませんでした。象徴的なのは「ハウスコム」という指名ワードで検索を行った場合の検索結果を見ると、公式のプレスリリース情報や株主向け情報などばかりで、ハウスコムの実像が分かる情報が全然表示されないような状態でした。

その原因はやはり圧倒的に情報発信の機会が足りていなかったからだと反省し、それからはサービスのみならず社長みずからのコラムや、社内行事の様子、社内制度で充実して働く社内スタッフの体験などの細かな情報までオウンドメディアを通じて発信するように心がけました。

そうすることで、WEBを通じて様々な「ハウスコム」のステークホルダーさんに、ハウスコムの実像を知ってもらえるキッカケを作リ出すことが出来ました。

当初想定していなかったケースで言うと、若い女性の方からの求人応募数が増えたりなどにも表れてきましたし、求人サイトへのアクセス数も以前より倍以上増えています。

ハウスコムの本業である不動産仲介に関しても、動画というフォーマットを通じてもっと便利で楽しい情報を提供できる余地があると思っています。お家探しの際に物件の室内の様子を動画で、物件の周辺地域の様子を動画で、物件の最寄り駅から物件までの道のりを動画で、という具体的なニーズもよく耳にします。

ハウスコム 安達文昭様 

動画に特化したマーケティングのパートナー

今のようにコンテンツファーストで動画の可能性を広げられたのには、動画に特化された広告会社であるオムニバスさんの存在が大きかったと思います。

動画企画を立ち上げた当初に複数社でコンペを依頼した頃からオムニバスさんには全力で作り手の気持ちのこもった提案をして頂き、私もクリエイティブについて良い提案かどうかを判断できるようになりましたし、配信面についても、必要なレポートを丁寧に挙げて頂き参考にしています。

動画施策は制作から配信まで多くの専門性や人の手が必要になりますが、最終的にはそうしたスタッフひとりひとりの想いが結果の善し悪しを大きく左右すると思います。私たちも引き続き動画の可能性を探っていきたいです。

カンヌライオンズに見る世界の動画コンテンツ傾向 (1)

世界3大広告賞である「カンヌライオンズ」では、今年もクリエイティブが光る数々の施策が注目を浴びました。その中でも特に注目度が高かったのが「動画コンテンツ」です。

オムニバスでは、カンヌライオンズ 2016 にも現地で参加し、日本でも数々の動画PRを手がけるビルコム株式会社の代表である太田滋様をゲストに迎え、セミナーを開催致しました。

(開催日:2016年 8月25日.木 @株式会社オムニバス)

今回は、そのセミナー内で語られた『PR視点におけるプランニング 5つのポイント』等の中から
ひとつをテーマに国内外の事例をあげてみます。

<関連記事>
カンヌライオンズに見る世界の動画コンテンツ傾向 その2
カンヌライオンズに見る世界の動画コンテンツ傾向 その3


・カンヌライオンズとは?

カンヌライオンズが今年も6月、フランスにて開催されました。
言わずと知れた国際的にも最大規模の広告賞なので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

昔はいわゆる「ザ・広告の祭典」という感じで、
情緒的なCMや感動的なコピー、迫力のある映像作品が集まっていたのかもしれませんが、
近年になっては「よりクリエイティブなアイデアであること」という不変のテーマにフォーカスし、
なおかつ「デジタル」ならではの良さを加味した部門が新設されたりと、
従来広告代理店のみならず、ネット界隈のプレーヤーにも非常に認知されてきています。

そんなカンヌライオンズの中で、
2016年はどのような議論が起こり、トレンドが浮かび上がったのか。
またそれに対して日本ではどんな事例があったか、について見てみたいと思います。

・「ブランドの顕在性」と「生活者との繋がり」を示す

弊社で2016年8月25日に開催したカンヌセミナーにて、ゲスト講師で戦略PR会社ビルコムの代表太田様は、プロモーション案がクリエイティブでありながらもしっかりと効果も発揮する良い事例となるためには、
「ブランドの顕在性」「生活者との繋がり」の2点をしっかりと押さえる必要があるのではないかと分析しました。

例えばアンダーアーマーによるキャンペーン。今年のリオ五輪でも史上最多23個の金メダルを獲得したマイケル・フィリップをフィーチャーしたフィルムです。


この事例を先ほどの2点に着目して見てみると、最も多くの金メダルをとったスター選手を単に取材するのではなく、
華々しい表彰状のウラにある過酷な練習・ストレスや不安など「陰の部分」を描いていることが分かります。

Rule Yourself というコピーに表現されるアンダーアーマーブランドの顕在性と、マイケルフィリップほどのスター選手であっても(またあなたの人生であっても)、「陰の努力こそが光をもたらす」
という格言でもってブランドと生活者を繋げています。

では、同じくリオに絡めて、
リオ五輪開催中に日米通算3000本安打を達成し世界から賞賛されたイチロー選手を起用したTOYOTAの「WOWS」キャンペーンを見てみましょう。

「イチローが嫌いだ」という
日本でも世界でもイチローを讃えるムードとは反対の言葉から入るところが、特徴的です。

しかし、その後に続く言葉を聞いてみると、
ハンディキャップを負った自分との格闘が主意であることが分かります。
イチローや、オリンピックで活躍する選手を見ていて、「へーすごいねー」と傍観していたような視聴者にとって、
「感心ばかりしてないで、自分も負けていられない」と鼓舞されるキッカケにもなり、それが本キャンペーンにおける生活者との「繋がり」だと言えます。

(続く)