動画(広告)

カンヌライオンズに見る世界の動画コンテンツ傾向 (1)

世界3大広告賞である「カンヌライオンズ」では、今年もクリエイティブが光る数々の施策が注目を浴びました。その中でも特に注目度が高かったのが「動画コンテンツ」です。

オムニバスでは、カンヌライオンズ 2016 にも現地で参加し、日本でも数々の動画PRを手がけるビルコム株式会社の代表である太田滋様をゲストに迎え、セミナーを開催致しました。

(開催日:2016年 8月25日.木 @株式会社オムニバス)

今回は、そのセミナー内で語られた『PR視点におけるプランニング 5つのポイント』等の中から
ひとつをテーマに国内外の事例をあげてみます。

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カンヌライオンズに見る世界の動画コンテンツ傾向 その2
カンヌライオンズに見る世界の動画コンテンツ傾向 その3


・カンヌライオンズとは?

カンヌライオンズが今年も6月、フランスにて開催されました。
言わずと知れた国際的にも最大規模の広告賞なので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

昔はいわゆる「ザ・広告の祭典」という感じで、
情緒的なCMや感動的なコピー、迫力のある映像作品が集まっていたのかもしれませんが、
近年になっては「よりクリエイティブなアイデアであること」という不変のテーマにフォーカスし、
なおかつ「デジタル」ならではの良さを加味した部門が新設されたりと、
従来広告代理店のみならず、ネット界隈のプレーヤーにも非常に認知されてきています。

そんなカンヌライオンズの中で、
2016年はどのような議論が起こり、トレンドが浮かび上がったのか。
またそれに対して日本ではどんな事例があったか、について見てみたいと思います。

・「ブランドの顕在性」と「生活者との繋がり」を示す

弊社で2016年8月25日に開催したカンヌセミナーにて、ゲスト講師で戦略PR会社ビルコムの代表太田様は、プロモーション案がクリエイティブでありながらもしっかりと効果も発揮する良い事例となるためには、
「ブランドの顕在性」「生活者との繋がり」の2点をしっかりと押さえる必要があるのではないかと分析しました。

例えばアンダーアーマーによるキャンペーン。今年のリオ五輪でも史上最多23個の金メダルを獲得したマイケル・フィリップをフィーチャーしたフィルムです。


この事例を先ほどの2点に着目して見てみると、最も多くの金メダルをとったスター選手を単に取材するのではなく、
華々しい表彰状のウラにある過酷な練習・ストレスや不安など「陰の部分」を描いていることが分かります。

Rule Yourself というコピーに表現されるアンダーアーマーブランドの顕在性と、マイケルフィリップほどのスター選手であっても(またあなたの人生であっても)、「陰の努力こそが光をもたらす」
という格言でもってブランドと生活者を繋げています。

では、同じくリオに絡めて、
リオ五輪開催中に日米通算3000本安打を達成し世界から賞賛されたイチロー選手を起用したTOYOTAの「WOWS」キャンペーンを見てみましょう。

「イチローが嫌いだ」という
日本でも世界でもイチローを讃えるムードとは反対の言葉から入るところが、特徴的です。

しかし、その後に続く言葉を聞いてみると、
ハンディキャップを負った自分との格闘が主意であることが分かります。
イチローや、オリンピックで活躍する選手を見ていて、「へーすごいねー」と傍観していたような視聴者にとって、
「感心ばかりしてないで、自分も負けていられない」と鼓舞されるキッカケにもなり、それが本キャンペーンにおける生活者との「繋がり」だと言えます。

(続く)

6秒の動画広告はどう違うのか。

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※せっかくなので縦型のアイキャッチ画像を置いてみました。

動画広告の新しいフォーマットとして「5~6秒」という超短尺のものが生まれてきています。

その背景にあるのはスマートフォンの普及で、
24時間ハンディに持ちあるくというモバイルデバイスの上では、
15秒や30秒の動画広告をよけいに「煩わしく」思うユーザーが増えてきているのです。

例えば YouTubeにおけるTrueViewでも最近は約6秒尺の動画広告が配信されることがあります。

正式には 「バンパー」と呼ばれるメニューで、
(参考:YouTube、5月より約6秒間の『バンパー広告』を開始。印象を与え、あっという間に終わる「広告の俳句」

主にはスマートフォンで閲覧するユーザー向けに、煩わしさを感じさせる間もなく広告を完結させるという狙いのようです。
(2016年現在、日本では未だβ版としてのみの公開となっており、扱えるのは
一部クライアント様に限られているというような状況です。)

他にも
MixChannelやC-Channelなどの広告枠を扱っている ファイブ株式会社のSP動画広告枠ネットワーク FIVE でも、
5〜6秒の超短尺に対応した動画広告メニューが存在します。
こちらはMixChannel,C Channel など媒体側の掲載コンテンツが10秒程度の短尺であるため、相性が良いことが想像できます。

しかし実際のユーザー体験として、わずか5秒の動画というのはどういう効果が期待されるものなのでしょうか?

従来の「スキップする」までと同じ時間

5秒という時間は、これまでの一般的な動画広告における「スキップする(できる)」までの時間と同等です。
従来の長めの動画広告では、このわずかな間に「スキップではなく視聴して!」というメッセージを詰め込むというパターンのクリエイティブも多くあります。

例えば新垣結衣さんの「十六茶」のcmや、
斉藤工さんの「日清カップヌードルスーパーライトプラス」のcm。

やはり「スキップしないで見てほしい」ということへのハードルの高さが伺えます。

テレビCMにも「5秒」は存在する

言われてみれば当たり前の話でもありますが、テレビCMでだって、何も全てが15,30,60秒という尺ではなく、
5秒間のCMも存在します。

もっとも数の多いところでは、「この後は〜〜○○!」というような、
番組の合間に流れる次の放送番組の宣伝でしょう。
(CMかというとタイプが違うという気もしますが)

またこの機会にいろいろと調べていると、関連深いニュースが過去には出ていました。

『5秒CMに存在感 定型破り、ひと声で勝負』 -朝日新聞デジタル-
   http://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/TKY201002020224.html

2010年のこの記事ですが、当時ネットに押され始めていたテレビCMの新しいパターンとして、
5秒尺のテレビCMが展開されて注目を集めていました。

またさらに時代を遡ると、昭和40年代前後にはもっと多くのCMが5秒尺だったそうです。

ネットやモバイルで5秒動画が誕生するずっと前から、テレビも様々な試行錯誤を繰り返していたんですね。

今度こそ5秒動画広告は浸透するのか。

そんな、意外と昔から存在していた5秒動画ですが、
再びモバイルという場所を獲得して、今度こそ世に返り咲くのでしょうか。
ポイントは下記の3点かと思っています。

 ・ナショナルクライアントから口火が切られるか
YouTube広告のスキップなし5秒(6秒)動画広告は日本では2016年夏時点で、アドワーズのβ版機能としてのみ
展開されています。なので一部の(おそらく規模の大きい)広告主のみが出稿できるような状態です。
その中の広告主側から実験的な活用が今後増えていくかどうかに注目です。

 

 ・「15秒」「30秒」の動画以上の価値をどう出すことが出来るのか。
5秒動画は従来の動画広告の「スキップしたくなる→スキップする必要がない」という点から、とかく「モバイルフレンドリー」という面が強調されることもありますが、
フレンドリーであるがゆえに〜〜というメッセージングに強い、
というような、特別なメリットがないと普及は難しいでしょう。

 ・強いタグラインを設定できるか
大泉洋を起用したリクナビNEXTの最新のキャンペーンでは、
YouTubeの6秒広告が活用されていました。

(6秒動画素材はyoutube上で見つからず、下記はフルバージョン)

15秒や30秒版の場合、
仕事/生活に悩む女性の横を大泉洋さんが歌いながら通り過ぎる、というストーリーですが、
6秒版では「フレフレ、人生。」というタグラインのみを大泉さんが正面を向いて唱えるという映像になっていました。

超短尺動画を紹介する場合、特に海外などでは
映像の美しさ・かっこ良さが光る事例が特別に選ばれていますが、短い動画広告でこそ1行でメッセージが伝わるような強いタグライン・キャッチコピーが活きてくるのではないでしょうか。

TVCM好感度はどのように計測しているのか

一般のニュースでも年に1度は目にすることが多い「CM好感度」。
2016年には auの「三太郎」シリーズが2年連続で首位を獲得しました。

CMを出稿する企業側担当者にとっても、重要な指標です。
しかし、一体どのようにしてCM好感度が計測されているのかご存知でしょうか?

TVCM好感度の調査方法とは?

TVCM好感度は、株式会社東京企画・CM総合研究所がデータを取得・集計し、発表しています。
関東1都6県の男女の中から抽出されたモニターに対して、「純粋想起・自己記述式」のアンケートを実施し、得られた回答数に応じて、CMの好感度を算出します。
純粋想起(Non-aided Recall,Pure Recollection)とは?

→純粋想起(ブランド再生)とは、調査対象社にヒントを提示しないで、知っている広告やブランドを思い出して回答してもらう方法です。
対となる概念として、写真などを掲示しながら回答を取る方法を助成想起(ブランド再認)と言います。純粋想起で選ばれるブランドの方が、より強く回答者の印象に根付いていると言えます。

実際に発表されているデータを見てみると…

http://www.cmdb.jp/ranking/HG19_top10.html

調査対象:関東1都6県 1500人、
調査期間:2016年4月5日〜2016年4月19日、東京キー5局 とあります。

毎月4日と19日で調査を行い、前期後期と別けて集計を行っています。
好感度の単位「 ‰ 」とは千分率のことで、%のさらに10分の1を表します。
2016年4月上期ですと 首位はKDDI/au で226.0‰ですが、
これは1500人の回答者中339人が純粋想起としてauのCMシリーズを挙げた、
ということです。
(339/1500=226.0‰)

出稿ボリュームの多いテレビCMの場合、その認知率はほぼ100%かのように思えますが、
純粋想起として「好きなCM・印象に残ったCM」に挙げられるためには、
よりユーザーに強く、良い印象を持ってもらうハードルがあることが分かります。

 

CM好感度の要因は?

CM総合研究所では、純粋想起での得票数以外にも、なぜそのCMが好きだと思ったのか、
その要因について15の項目別にデータを集計しています。

項目例:
出演者・キャラクター, 商品にひかれた, ストーリー展開が面白い, 映像・画像がよい,
かわいらしい, 心がなごむ, ユーモラスな所が, … etc

書籍として毎月発売されている「CM INDEX」では、
好感度ランキング上位の企業ごとに、支持層の年代・性別分布や
その要因項目についても知ることが出来ます。

それによりますと、毎月好感度で上位に位置するCMでは、
その好感要因のトップに「出演者・キャラクター」が挙げられています。
次いで「ストーリー展開」や「ユーモラス」が頻出項目です。

旬のタレントを起用しつつ、「多くの人に長く楽しんで貰えるシリーズ広告」という最近の人気CMの特徴が表れています。

——————(追記)————————————————-

どんなデータがもっとも価値があるのか

CM好感度以外にも、視聴率などの定量データ、あらゆる番組やCMの放送内容を
テキスト化した「TVメタデータ」など、テレビ視聴には
まさしく「ビッグデータ」が眠っており、
企業のデジタルマーケティングへ活用される兆しが見えています。

かつてほどテレビメディアが全年齢全世代に対応したリーチを発揮せず、
Abema TV や TVerなど、デジタル上での新しい動画コンテンツ体験を提供するサービスが増えていけば、
その傾向は一層強まるでしょう。